映画「ボヘミアン・ラプソディー」で観客が10人に1人も気づかない「笑うとこ」

    70~80年代を中心に活躍したロックバンド、Queenの物語を描いた映画、”Bohemian Rhapsody” 2018年11月に日本でも公開され、大ヒットとなりました。

    クイーンのリード・ボーカルであるフレディ・マーキュリーを軸に、バンドの歴史やお互いの関係を見せながら描くストーリー。私は予告編(英語では trailer といいます)を数本見ただけで、「クイーンの曲がたくさん聞けそう!」というくらいで見に行きました。

    (ネタバレは少しも許せない! という方はこれ以降読まれないようにお願いします。)

    1985年7月、ロンドンのウェンブリー・スタジアム(Wembley Stadium)で行われたライブ・エイド(Live Aid)コンサートに出演したクイーン。
    このコンサートがクライマックスになるだろうということは、オープニング映像から予想できます。

    いろいろあって(省略しすぎ!)、この場面にたどり着くのですが、実際のパフォーマンスを再現したライブシーンの迫力に、映画館の大スクリーンを見上げながら涙が流れました……。

    (いろいろあって、の部分は 実際の出来事に忠実な部分と、完全な脚色の部分とが混ざっているようです)

     

    観客が10人に1人も気づかない「笑うとこ」

    さて、話は戻って、観客が10人に1人も気づかない「笑うとこ」。

    マイク・マイヤーズ(Mike Myers)という名前に聞き覚えがあるかどうか? が一つの分かれ目かもしれません。

    オープニング映像に出演者の名前が出てきたとき、「あれ、マイク・マイヤーズが出てるの?」と心にちょっと引っかかったのです。

    映画を見始めて忘れていたのですが、ある場面で、以下のセリフを聞いた時にピンときました。

    クイーンのメンバーたちは、ボヘミアン・ラプソディーのレコーディングを終えて、契約先のレコード会社の重役に曲を聞かせます。すると彼は渋い顔。

    ボヘミアン・ラプソディー? なんだこの曲は、とこき下ろしつつ、別の曲の題名を挙げてこう言います。英語のセリフを載せますね。

    That’s the kind of song teenagers can crank up the volume in their car and bang their heads to. Bohemian Rhapsody will never be that song.

    「こっちの曲のほうが、若い子たちが車の中でボリュームを上げて、頭を振ってノリノリになれるんだよ。ボヘミアン・ラプソディーじゃ絶対無理だ」

    (訳:さやか)


    そうかぁ~~~! ここにマイク・マイヤーズ! 笑

    ↑ ここ、笑うとこでした。

    (すみません! 説明します)

     

    マイク・マイヤーズ といえば……

    マイク・マイヤーズ といえば 「ウェインズ・ワールド」(Wayne’s World)や「オースティン・パワーズ」(Austin Powers)シリーズといった、90年代のおバカ映画(と親しみを込めて呼びます)を作った人です。

    マイク・マイヤーズは、主演映画「ウェインズ・ワールド」のストーリー中で、仲間たちと車に乗りながら、大音量でボヘミアン・ラプソディーを流し、ノリノリでヘッドバンギングをする名シーン(!?)を作った張本人です。


    実際のシーン、ここで見られます。
    https://www.youtube.com/watch?v=thyJOnasHVE

    (画像: Wayne’s World Official Trailer(ウェインズ・ワールド公式予告編)より
    1992年公開の映画、写真左端がマイク・マイヤーズです。)

     

    そんな彼が、上のセリフでクイーンをこき下ろす。だからクスッと笑えるんです。

     

    もうちょっと説明

    もうちょっと説明しますね。

    この重役キャラ、映画での役名は レイ・フォスター(Ray Foster)といいますが、実在の人物ではないそうです。クイーンの音楽に理解を示さなかった人々を具現化したキャラクターといえるでしょう。

    ウェインズ・ワールドを知らなくても、観客からすると、「この人、全然わかってない!」と思うわけです。

    さらに、マイク・マイヤーズを知っていると「別の映画でボヘミアン・ラプソディーをかけてノリノリだった、お前がそれを言うか!」という「笑うとこ」になるのです。

    (この映画を見に来た人で、ウェインズ・ワールドも見ていた人、さらにこの場面を思い出した人、10人に1人もいないんじゃないかと思ったのですが、どうでしょうね?)


    この重役を演じたマイク・マイヤーズ、本人のインタビュー映像を見つけましたので、そこからの彼の言葉を紹介しておきます。

    (YouTubeにあったインタビュー映像から、英語を書き起こして、訳をつけてみました)

    There is no actual Ray Foster. But I played the EMI executive that told Queen that they can’t put Bohemian Rhapsody on their album. So I thought that was a nice irony. -Mike Myers

    「レイ・フォスターという人は実在しないんです。でも、私はクイーンに「ボヘミアン・ラプソディーはアルバムに入れられないな」と言うEMIレコードの重役を演じました。この点は皮肉がきいていていいと思いましたよ」

    https://www.youtube.com/watch?v=uHrJ6s3wpPA より

    ウェインズ・ワールドの名場面を知ると、このセリフもなるほどと思って聞けるのではないでしょうか。

    「笑うとこ」は説明しちゃうとあまり笑えないですね。


    私の専門は英語の上達サポートなので、この記事にも英語フレーズを紹介してみました。あなたの英語上達のヒントになれば!

    お付き合いいただきありがとう!

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